日本麻酔科学会について

理事長就任挨拶

理念

概要

理事長就任挨拶

 2017年より公益社団法人日本麻酔科学会理事長を務めることとなりました。
本学会の前身である日本麻酔学会は1954年に創立され、2011年に公益社団法人となり日本麻酔科学会へと改称されました。 専門医制度を日本で最も早く1963年に立ち上げ、麻酔科標榜医という厚生労働省認定の資格認定など、輝かしい伝統をもつ学会です。 近年は年間新入会員数も500名近くとなり、会員総数は13,000人を超えるほどの学会となりました。

 本学会は、手術前から手術後に至るまで術中麻酔管理を含む周術期医療、救急医療や集中医療などにおける患者さんの全身状態の管理や、 急性痛、慢性痛、癌性疼痛などペインクリニックや緩和医療における鎮痛療法など、患者さんの命を守り、 安全で快適な医療を提供することを目的としています。 質の高い麻酔科医を育成し、他領域と協働して、医療技術の創成や創薬などを通じ国民医療の向上、さらに国際医療への貢献を行ってきています。

 理事長として3つの柱を挙げました。
 第1の柱は「継続と変革」です。患者さんを守るという安全の文化を継承してまいります。新専門医制度の導入、医療費の削減、高齢化など私たちを取り巻く社会情勢の大きな変化に対して、柔軟に、そして時機を逸せず的確に対応していく所存です。次世代の人々の健康増進に貢献するために、麻酔科学と麻酔関連医療の進歩を推進してまいります。
 第2の柱は「交渉と決断」です。政府や、日本医師会、日本専門医機構など中央組織、他学会との良好な連携を確立・維持し、 私たちが思い描く未来を達成するために交渉してまいります。そして、大局的な観点から国民医療のために決断をしていく所存です。
 第3の柱は「世界に向けた行動」です。本学会は、世界の麻酔科医たちからリーダーシップに期待をかけられています。 国際学会の開催や参加、講師の海外派遣による交流に加え、留学生の受け入れなどを行っています。この素晴らしい伝統を守るとともに、改革を進め、学会の使命を果たすべく最大限の努力をしてまいります。
 今後とも、会員諸氏の積極的な参加と協力をお願いし、理事長挨拶とさせていただきます。

2017年8月
公益社団法人 日本麻酔科学会理事長
稲田英一

理念

公益社団法人日本麻酔科学会は、周術期の患者の生体管理を中心としながら、救急医療や集中医療における生体管理、種々の疾病および手術を起因とする疼痛・緩和医療などの領域において、患者の命を守り、安全で快適な医療を提供することを目的とする。

公益社団法人日本麻酔科学会は以下の事項を通じてこれを達成する。

  1. 質の高い麻酔科医の育成
  2. 先端的研究の推進と新たな医療技術の創成
  3. 正しい知識の啓発と普及
  4. 他領域と協同する医療
  5. 国際的医療への寄与

概要

日本における麻酔科学は、戦後、麻酔科学の本場であるアメリカに視察留学に行った日本の外科医達が、外科手術といわゆる生体管理学である麻酔との完全分業による驚異的な手術成功率の実現への感銘と、日本のかけ離れた現状に危機感をおぼえたことから急速に発展・普及した。

そして1954年10月22日、東京大学医学部麻酔学教室を中心に、現在の公益社団法人日本麻酔科学会の前身である日本麻酔学会が、麻酔科学に関する研究調査をすすめながら、国の内外の関連学会との連携協力を行い、麻酔科学の進歩普及を図り、わが国の学術文化の発展に寄与することを目的に設立された。

麻酔科学は、人間が生存し続けるために必要な呼吸器、循環器等の諸条件を整え、生体の侵襲行為である手術が可能なように管理する生体管理医学である。したがって、手術の進歩と麻酔科学の進歩とは不可分の関係にある。
昭和20年代中頃までは麻酔科学が十分発達していなかったため、当然のことながら手術中の患者管理が極めて拙劣で、"手術は成功したが患者の体力が持たなかったのが残念だ"という事態がしばしば起こった。しかし近年は、"手術死"の言葉が殆ど聴かれなくなった。これは麻酔固有の専門的研究の進歩のみならず、呼吸・循環・体液・代謝等の分野の研究と歩調を合わせて発展した麻酔管理(生体管理)学と麻酔科専門医による患者管理技術が急速に進歩したからである。

国は、麻酔科学の進歩と麻酔科専門医の育成が課題であることを認識し、1960年3月「麻酔科の標榜と許可について」という厚生省医務局長通達を出し、麻酔科を標榜するためには、

  1. 麻酔指導医のもとで2年間以上麻酔に専従した者
  2. 全身麻酔を2年以上にわたって300例以上実施した者(施設の長の承認が必要)
  3. 外国において1と同等の教育を受けた者

という要件を特に定め、厚生省のもとにある審査会の許可を得た者のみが麻酔科を掲げ、あるいは麻酔科医を名乗ることができることとした。これは、麻酔科(医)が(他科が各医師の判断で診療科名を掲げることができるのと比較して)極めて専門性が強く、責任の重い独自性のある分野であることを考慮した処置である。

当学会は、この間長年にわたって学術集会の開催や学会誌「日本麻酔科学会年報」(年1回)・「麻酔」(月1回)を刊行し、更に英字編集の「Journal of Anesthesia」誌を発刊して、国内外的に研究成果を発表し、その普及に努めてきた。

また、当学会会員の多くが国際学会登録会員でもあり、世界麻酔学会には毎回多くの会員が参加している。更にはアジア・オーストラレーシアン麻酔学会や日韓合同麻酔学会への講師派遣等を行ってきた。また今後、国際協力事業団を通じて、アジア・オセアニア等の地域への麻酔科医の派遣要請に当学会として積極的に対応していくことを考えている。現在、21世紀の早い段階で、日本での世界麻酔学会の開催について検討しているところである。
最近では学術集会の開催にあわせて一般市民を対象とした公開講座で、安全な手術と麻酔の役割、癌の痛みの治療等の講演等を行い、啓発活動にも力を入れてきた。同時に当学会は平成9年から、麻酔科学のためのみならず、広く社会に貢献した者(会員とは限らない)に対し学会賞(社会賞)を付与し、麻酔科学の社会貢献の促進に努力している。

日本麻酔科学会は日本学術会議、日本医学会等の権威ある団体に麻酔科学の専門家集団として加盟しており、医療に関する様々な事業について協力・連携を深めている。

2001年6月20日に社団法人格を取得した後は、従来から実施してきた様々な学会活動や認定医制度を更に充実し、新たに、各支部による学術集会・研修会の開催や、国際的活動・交流の発展、関連学会との交流による学問的な向上、および社会的公益活動を行って、その責任を果たしていくよう日夜努力している。

また、2011年4月1日から公益社団法人に移行したことに伴い、公益に貢献するシンクタンクとして周術期の患者の生体管理を中心としながら、患者の命を守り、安全で快適な医療を提供することを一段と強化していく。

lastupdate20170912

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