麻酔を受けられる方へ <13>

麻酔に関連する合併症

硬膜外麻酔・脊髄くも膜下麻酔、末梢神経ブロックの合併症・偶発症

《頭 痛》
脊髄くも膜下麻酔では硬膜に針をいれますが、手術後に脳脊髄液がこの針穴から漏れ、脳圧が低下し、激しい頭痛が起こることがあります。発生頻度は約0.5%(170~200人に1人)程度で、通常、特別な治療をしなくても1週間程度で治まります。 また、硬膜外麻酔でも、針によって硬膜を傷つけてしまった場合には、同様の頭痛が起きます。
《馬尾症候群・一過性神経症状(神経根刺激)》
脊髄は腰椎上部までで、それより下の脊柱の中は馬尾といい、細い神経が縦に走っています。脊髄くも膜下麻酔は馬尾の部分に麻酔薬をいれるので、通常、太い脊髄は傷害を受けません。しかし、1万人から5万人に1人程度の頻度で、下半身の知覚異常、運動障害、膀胱直腸障害など(馬尾症候群)を生じることがあります。脚の痛みや知覚異常は、通常、24~72時間以内に回復します。(一過性神経症状)が、中には症状が長期間持続する場合もあります。
《硬膜外血腫、硬膜外膿瘍》《脊髄くも膜下血腫、脊髄くも膜下膿瘍》
血液を固める機能や血小板に異常がある場合、硬膜外麻酔で、背中に針を刺すときやカテーテルを抜くときに、硬膜の外に血腫(血のかたまり)ができて、神経を圧迫することがあります。10万から15万人に1人の頻度で起こります。硬膜外膿瘍は、カテーテルを介して細菌が硬膜外腔に侵入し、発生するうみのかたまりです。血腫と同様に、神経を圧迫して感覚や運動を麻痺させることがあります。
また、脊髄くも膜下麻酔でも、脊髄くも膜下血腫や脊髄くも膜下膿瘍ができることがあります。
《排尿困難》
硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔の効果が切れてしばらくの間、尿意を感じても尿が出ず、尿道に管を入れて尿を排泄させなければならないことがあります。通常は1〜2回の処置で自然に治ります。
《吐き気、嘔吐、かゆみ、足のしびれ》
痛み止めの薬がこのような症状を起こす可能性があります。症状が強くて我慢できないときは、看護師や主治医にお知らせ下さい。
《局所麻酔のカテーテル切断》
まれにカテーテルが切れて体内に残ることがあります。手術的に遺残カテーテルの摘出を試みる場合があります。
《麻酔が効かない、麻酔が切れてきた》
手術に必要な範囲まで麻酔が効いていないために痛みが強くて我慢できない、あるいは手術が予定より長引いて麻酔効果が消えることがあります。この場合は全身麻酔に変更になることもあります。
《局所麻酔薬中毒》
硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔、末梢神経ブロックに使用する局所麻酔薬の血液中の濃度がかなり上昇してしまうと、局所麻酔薬中毒となることがあります。不整脈や痙攣、意識障害などを生じることがあります。
《上肢の末梢神経ブロックによる呼吸困難》
上肢の神経ブロックでは、横隔膜の神経麻痺や気胸によって、呼吸困難となることがあります。横隔膜の神経の麻酔効果がなくなるまで人工呼吸を必要としたり、胸腔にドレナージチューブを入れなければならない場合があります。

lastupdate20170706