日本麻酔科学会 70周年記念誌
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会への帰属意識、良質な環境、自由、愛情)」を求める必要がある[5]。このため、講座の在り方を考える際にも、非地位財を如何に多く含ませるかが重要である。具体的には、健康面においては、講座員の過重労働に配慮する。自主性及び自由の観点では、上司、指導医に対して講座員が自由に意見を言える環境を構築し、また各講座員は自分の言動に対する責任を持つように指導する。社会(講座)への帰属意識と愛情に関しては、当講座員であることへの誇りを持たせ、指導医と専攻医の間に信頼関係が生まれる様に指導医側は努力する。指導される専攻医側も指導医への感謝を忘れてはならない。互いに「有難う」と感謝の意を常に表するように心掛ける。その結果、講座員間の絆が構築されて行き、講座への帰属意識と愛情が生まれることが期待できる。最終的に、各講座員が自分の講座の為に何が出来るかを常に考えるようになることを目指す。(2)大学院進学率の向上 麻酔科専攻医の学位取得希望率は他臨床医学領域と比べて極端に低く、次代を担う若手が研究に興味を失っているので、このままでは麻酔科学研究は今後低下の一途を辿る。対策は明白で、学位取得希望率、大学院進学率を他の医学領域並みに引き上げる(倍増する)ことである。これにより、演題数も倍増するはずである。しかし現在、麻酔科学領域では、医育機関の多くで研究者減少と研究環境の悪化の負のサイクルが回っている(図9)[6]。どこかで負のサイクル学術図8.日本の麻酔科学研究力再興のための方策と好循環図9.研究者減少と研究環境の悪化の負のサイクル93

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