た[1]。これは、診療科ごとの将来必要な医師数 2019年2月22日、平成30年度第4回医道審議会医師分科会の医師専門研修部会に将来の必要養成医師数の見通しと題する資料が提出されの見通しを示したものであるが、麻酔科の場合、2016年の医師数9,496人に対して、2024年、2030年、2036年の医師数はそれぞれ10,126人、10,036人、9,701人となっている。すなわち、2024、2030、2036年の必要医師数を達成するための年間養成数はそれぞれ305人、270人、243人と試算されており、2019年当時の麻酔科専攻医採用数が450~500人であったことから半数近い数字に抑えられていた。このデータは日本専門医機構から各基本領域学会に伝えられ、大きな反響を呼んだ。確かに、日本麻酔科学会会員数は毎年250人前後増加していたが、採用された専攻医の半数ほどがリタイアや転科等によって退会している現状を考慮すると、専攻医採用数が半減した場合には会員数の増加はかなり抑制されることが想定される。このため、当時の稲田英一理事長は必要医師数の見直しを求めた要望書を厚生労働省に提出したが、外科手術件数から算出した数字が全ての手術件数を反映していることと、外科手術件数の今後の予測値から算東京歯科大学市川総合病院出した結果であり、実態を表した数字であるとして厚生労働省は修正しない方針であった。 今回、このような各診療科の必要医師数を算定した背景には、2024年度から法制化された医師の働き方改革[2]に加えて医師の診療科偏在、地域偏在の是正がある。平成28年の医師・歯科医師・薬剤師調査統計表によると、外科医師数は2006年までは20,000から25,000人であったが、その後は減少が顕著になり、2016年には15,000人を割っている。このように外科医師数が減少していることもあり、週当たりの勤務時間が60時間を超える病院常勤医の割合は外科の場合50%弱と、半数近くの外科医の超過勤務時間が長いことが示された。一方、麻酔科医の場合は34%であり外科医よりも15%ほど少ない割合になっている。このほか、産婦人科医や救急医も時間外勤務時間が長いことが問題視された。2024年度からの働き方改革の法制化までに特に外科、産婦人科、救急科の時間外勤務時間を減少させる方策が急務となり、3診療科の時間外勤務時間を減少させるための策として、これらの診療科の医師を増加させる方針が打ち出された。実際、平成6年度の医師数を1とした場合、平成28年において産婦人科も外科も1以下になっているのに対して、リハビリテーション科、形成外科、麻酔科はそれぞれ3.2、2.2、1.96とほぼ医療行政第2部 寄 稿医療行政1.医師不足97小板橋 俊 哉医師不足、麻酔科医不足、 フリーランス麻酔科医
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