日本麻酔科学会は広報委員会を中心に、社会への広報活動を継続してきた。その最たる目的は、国民が等しく安心して麻酔科医療を享受できるよう、十分かつ正確に麻酔についての知識を有せることであり、そのために麻酔科医の役割や重要性、医療活動内容を広く発信し、その過程で麻酔科医に対する理解と信頼をも確立することにある。同時に医学生や初期研修医に対しても麻酔科医療の重要性を広報し、将来に渡り日本の麻酔科医療を担う医師を確保することも重要な使命である。 その目的達成のために様々な広報活動を行ってきたが、インターネット環境の整備後は、学会ホームページを有効に活用し、国民が容易に閲覧し、麻酔科に関する情報が得られるよう「一般の皆様」というバナーを設け、本学会の理念、概要の説明、麻酔科医の役割、麻酔を受けられる方のための麻酔法や周術期の流れ、合併症などの解説、麻酔以外の関連業務である集中治療、ペインクリニックおよび緩和医療の概要を紹介している。また麻酔科専門医による医療を受けられる全国の麻酔科認定病院のホームページを検索できるよう連携を整え、国民が容易に詳細を調べることができるようになっている。 麻酔に関する情報提供として、ホームページとは別に「麻酔のしおり」という冊子体を作成日本大学医学部麻酔科学系麻酔科学分野し、各病院における患者説明にご利用いただいている。この麻酔のしおりと連動して、2023年度より「麻酔のしおり」の動画アニメーション化を実現した。冊子体の「麻酔のしおり」にQRコードを付け、本動画サイトにリンクできるようにしている。これにより内容を映像で理解、文字を言葉として伝えられるようになり、お子さんやご高齢の方の麻酔の理解に役立っていると評価している。 さらに2023年、「よくある術前合併症」を新たにホームページに掲載した。これは様々な基礎疾患を有し、手術・麻酔を受けることに不安を抱く多くの国民への情報提供を目的とした事業である。手術を控える国民にとって良い情報源社会啓発活動第2部 寄 稿102鈴 木 孝 浩社会啓発活動─社会への発信の必要性─
元のページ ../index.html#110