日本麻酔科学会 70周年記念誌
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 全身麻酔に関連する事柄:全身麻酔中の気道確保、口が開きにくい、深部静脈血栓症、悪性高熱症 1804年10月13日、華岡青洲は「通仙散」を用い、世界ではじめて全身麻酔下に乳がん摘出手術を成功させた。日本麻酔科学会はこの偉業をたたえて10月13日を「麻酔の日」とし、PRしてきた。この日に合わせ、心に残る麻酔科医とのエピソードエッセイを募集し、大賞、優秀作品に選出された作品はHP上で公開してきた。公開された作品には学会ノベルティグッズを贈呈している (2023年度大賞「あたたかかった手」、2022年度大賞「私の麻酔初体験」2021年度大賞「感謝のメダル」)。「麻酔の日」の国民による認知を感取できた嬉しい事例を紹介する。学校図書館で『10月13日は「麻酔の日」』として華岡青洲や医学関連の書籍を展示するにあたり、「麻酔の日」のポスターを使用したいとのご連絡を学会にいただいた。もちろん使用を許可させていただき、その後に以下の開催報告を写真付きでいただけた。「さっそく学校図書館内にコーナーを作りました。生徒は足を止め、青洲の功績に素直に感嘆し、また、家族の献身の事実を知りいろいろ考えるきっかけをいただいているようです。一人でも多くの生徒に興味を持ってもら社会啓発活動画面例)になるよう、代表的な術前合併症を画像で一覧に見やすく並べ、そこをクリックすると解説に移る形式をとっており、内容は理解しやすいように簡単、平易な言葉で解説している。情報が提供されることで、術前状態の改善や麻酔安全性にも繋がるとともに、術前診察の際の麻酔の説明にも使用できるため、学会員の日々の業務負担軽減にも貢献できると評価している。現状、以下の項目を取り上げている。 呼吸器疾患:喘息、肺気腫、間質性肺炎、睡眠時無呼吸 心臓血管疾患:高血圧、虚血性心疾患、冠動脈ステント留置後、心不全、不整脈、心臓ペースメーカー 神経疾患:脳卒中既往、てんかん、認知症、重症筋無力症 内分泌、代謝、肝臓、腎臓疾患:糖尿病、甲状腺機能異常、肝機能障害、腎機能障害、血液透析 その他:貧血、緑内障、関節リウマチ、胃食道逆流、消化管通過障害、肥満 手術前の内服薬への対処:降圧薬、血糖降下薬、ステロイド、抗血小板薬、抗凝固薬、経口避妊薬、健康食品やサプリメント こんなときどうする?:予防接種、喫煙、発熱、アレルギー、妊娠、術後の悪心嘔吐の経験、新型コロナウィルス感染、歯のぐらつき103

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