日本麻酔科学会 70周年記念誌
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 日本麻酔科学会は、公益目的交流事業として・ 世界各国の関連学術団体と連携・協力できる体制の構築・ 国内外の先端的研究の推進および専門的知識や技術の普及・啓発・ これらの国際協力活動ができる人材の育成を行うことの3つの目標を掲げ、日本から麻酔科学を世界に発信して海外団体と協力し、世界レベルの医療の提供によって国民に還元することを目指して活動を行ってきた。本章では、これまでの日本麻酔科学会の国際交流の営みについてご紹介する。 日本麻酔科学会はこれまでに世界各国の関連学術団体との連携、国際学会の誘致を通して、麻酔の診療にあずかる麻酔科医とメディカルスタッフ、専攻医、研修医、そしてこれから医療に携わる学生らに世界の麻酔関連学会とつながる機会を提供してきた。 これまでに米国麻酔科学会、ヨーロッパ麻酔科学会、韓国麻酔科学会、中国麻酔科学会など主要な世界の麻酔科学会と演者招聘のための契約覚書 (Memorandum of Understanding) を交わし、国内外の第一線で活躍する研究者や臨床国際交流委員会・委員長家との活発な議論を繰り広げる機会を提供している。 国際学会の誘致については、第五回世界麻酔学会The Fifth World Congress of Anesthesiologists (1972年、京都・国立京都国際会館)、国際麻酔科学史シンポジウムInternational Symposium on the History of Anesthesia (2021年、神戸・ポートピアホテル)、安全な麻酔のための国際会議International Conference on Anesthesia Patient Safety 2024 (2024年、東京新宿・京王プラザホテル、後述)が過去の実績である。世界中から優れた医師・研究者らを日本に招くことにより、患者の診療に関する知識を深め、臨床力を高め、また日本の麻酔を世界に向け発信することを推奨してきた。 日本麻酔科学会の年次学術集会では、北米、欧州だけでなく、アジア諸国や南米などからも登壇者を招聘して講演会をおこない、日本との合同シンポジウムなどを通し積極的な情報交換をおこなってきた。日本が連なるアジアの枠組みのなかでは、中国と韓国とは東アジア麻酔科学会 (East Asian Congress for Anesthesiologists: EACA) としての個別の合意を結び、毎年持ち回りで会議を行い更なる交流を深めている。国際交流第2部 寄 稿国際交流1.日本麻酔科学会として学術面の国際交流105長 坂 安 子国際交流アジアそして欧米との関わり

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