日本麻酔科学会 70周年記念誌
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 わが国は社会形態の変換期を迎えています。ダイバーシティ(多様性)推進の取り組みは、世界的にも重要な課題で、近年わが国においても、さまざまな取り組みが行われてきています。ジェンダー平等に関しては、1986年に男女雇用機会均等法が施行、1991年に育児休業法が制定され、男性も育児休業を取得することが奨励されるようになりました。さらに2016年には男女平等参画社会基本法が制定され、ここでは男女が共に社会に参画し、機会均等、賃金の公平性、セクシュアルハラスメントの防止などが規定されています。また政府は管理職の30%を女性にする目標を掲げています。 ダイバーシティ推進とは、多様なバックグラウンドをもつ様々な人々が活躍できる社会を目指す取り組みであることから、公益社団法人日本麻酔科学会として2021年に山蔭理事長により、ダイバーシティ声明が公表されていますのでご紹介します(2021年8月2日付けで麻酔科学会ホームページに掲載)。 「当法人は、多様性を尊重する精神を啓発・推進し、多様性社会の実現に向けて貢献してまいります。われわれは外科侵襲から患者を守る麻酔科学の根幹に共感する麻酔科医の集団です。個々の集団である団体には、年齢、性別、障害、国籍、人種のような普遍的属性、そして思想、宗教、教育、働き方や関連領域での職歴のような可変的属性が多様に存在します。当法人は、このような多様性 (diversity) を生かして、みんなが活躍できる環境を、かつ今後の働き方改革の変容に即した環境を提供できるよう施策を進めていきます。※その施策を推進するために、日本麻酔科学会では、事務局内に「ハラスメント対策室」ならびに「ダイバーシティ推進室」を設置しています。」 このように属性に関係なく、みなが活躍できる環境を目指しておりますが、まず取り組んでいるのが、男女共同参画問題です。日本麻酔科学会でも2016年より、ダイバーシティ推進に力を入れて参りました。2017年に現在のダイバーシティ推進室の前身である「男女共同参画推進室」が立ち上がり、初代室長に萬知子先生がご就任されました。2019年からはダイバーシティ推進室に移行し、初代室長に近江禎子先生がご麻酔科におけるダイバーシティ日本麻酔科学会ダイバーシティ推進室長・ハラスメント対策室長兵庫医科大学病院麻酔科におけるダイバーシティ第2部 寄 稿はじめに日本麻酔科学会のダイバーシティ声明113高 雄 由美子麻酔科におけるダイバーシティへの取り組みとハラスメント対策、これまでとこれから

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