日本麻酔科学会 70周年記念誌
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 まず、今後の日本麻酔科学会の進むべき方向を述べる前に、この度の70周年記念事業において、日本麻酔科学会第71回学術集会での「70周年記念シンポジウム」では座長の労をおとりいただいた武田純三元理事長をはじめ、ご講演いただいた・花岡一雄 元理事長「日本麻酔学会(当時)の成り立ちから社団法人―公益社団法人への道のり」・松木明知 名誉会員「現代の日本麻酔科学の歩み」・森田 潔 元理事長(一般社団法人日本麻酔科医会連合事務局長)「日本麻酔科医会連合の設立」・川股知之 学術委員長「日本の麻酔科学研究の振り返りと今後の取り組み」・山本俊介 先生(元厚生労働省保険局医療課医療技術評価推進室医療技術評価企画調整専門官)「社会活動:行政から見た日本麻酔科学会、麻酔科医行政は日本麻酔科学会をどのように捉えてきたのか」・並木昭義 元理事長「公益社団法人としての日本麻酔科学会の展望」には、この場を借りて厚く御礼申し上げたい。公益社団法人日本麻酔科学会・理事長札幌医科大学医学部麻酔科学講座・教授これらご講演の中でも、過去を振り返り、現状を分析し、そして貴重な未来への提言をいただいた。詳細については、既述の玉稿を読んでいただくとして、私はそれらの講演を踏まえた上で、今後の日本麻酔科学会のあるべき姿について述べてみたい。 日本麻酔科学会は、前身である日本麻酔学会として1954年に設立された。米国麻酔学会の設立からは約50年遅れての発足となる。きっかけとなったのは、1950年7月から9月にかけて東京と大阪で開催された日米医学教育者協議会である。ここで、外科学会を率いる諸先生たちがSaklad先生の麻酔科学に関する講義を聴講し、麻酔科学の独立と発展を強く実感したことが日本麻酔学会の設立の機運を高めた。同時に、将来日本の麻酔科学を率いることになる諸先輩たちもこれに感銘を受け、多くの先輩たちがフルブライト留学生などの形で、この後米国の麻酔科学を学ぶことになる。 また、麻酔科学の専門性が重要視され、発展していったきっかけに、標榜医制度がある。わが国では現時点で自由標榜が認められているが、麻酔科医だけは厚生労働省の認可資格である。1960年に正式認可され、同年に35名の麻酔科医理事長総括理事長総括日本麻酔科学会の歩み第2部 寄 稿はじめに117山 蔭 道 明70周年記念シンポジウム・寄稿を 踏まえた今後の学会のあり方に ついて

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