日本麻酔科学会 70周年記念誌
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生学会産業疲労研究会の協力を得てマンパワーのアンケート調査を行い、2005年2月に19頁の「麻酔科医マンパワー不足に対する日本麻酔科学会の提言」として公表した。麻酔科医の現状分析、麻酔科医不足の原因と対策などに言及しており、麻酔に係る種々の業務の効率化、休業した麻酔科医の復帰の促進、麻酔業務についていない麻酔科標榜医取得者の再教育などが盛り込まれている。 2000年初頭 CVC (中心静脈カテーテル挿入)に伴う事故が多発し、2003年には大学病院でCVCに関して2例の致死的合併症が発生し、大きく新聞報道された。術中にCVカテーテルを必要とすることは少ないが、麻酔科医は挿入を依頼されることも多く、上記の背景からCVCに関する安全対策の必要性が強く認識され、指針を作成することになった (2005年設立された麻酔手技における事故防止対策調査WGが担当)。主として当時主流であったランドマーク法に基づく内頸静脈穿刺について手技・合併症を中心に概説し、普及し始めていた超音波エコーガイド下穿刺については知見の紹介にとどめた。呼称については(現在はプラティカルガイドとして統一)、エビデンスレベルの提示がないということで「手引き」として公表した。 2006年度の診療報酬改定に向けて、厚労省より手術手技料に麻酔料も包括するという提案がなされた。しかし、同じ術式であっても、合併症の無い患者と、重度の疾患を合併した患者とでは、麻酔管理に必要とする技量や経費が異なることを説明してきた。その結果、全症例の12-13%程度を占めるASAのⅢ、Ⅳの患者はリスクが高いので、それに相当する『別に厚生労働大臣が定める重症の患者に対して行った場合』の項目が選定され、2006年の診療報酬改定で加算が開始となった。後に『別に厚生労働大臣が定める麻酔が困難な患者に行う場合』に移行した。(武田純三) 研修提供側、研修を受ける側双方への諸条件を骨子とする「歯科医師の医科麻酔研修のガイドライン」は日本麻酔科学会と日本歯科麻酔学会が立案、2002年厚生労働省より通達されていた。しかし2007年に三井記念病院で麻酔研修中の歯科医による患者死亡事案が「医師が麻酔の虚偽文(武田純三)・日本麻酔科学会・(中馬理一郎)・診療報酬・・医療事件・安全な中心静脈カテーテル挿入・管理のための手引き (2009) 作成重症患者麻酔の加算三井記念病院で歯科医師の医科麻酔研修のガイドライン逸脱例の報道1462006年11月2007年7月12日

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