日本麻酔科学会 70周年記念誌
16/168

および2023年で2-4倍程度に増加しており (BMC Anesthesiologyは2013年と比較して)、日本からの採択論文の比率は高インパクトファクター雑誌から比較的掲載されやすい雑誌にシフトしていることがわかる。これは論文の質の低下を示唆するかもしれない。臨床医学全般においては、インパクトファクターが上位1/4の医学雑誌での日本からの掲載論文数は2001-2003年頃をピークに減少し2019-2021年は横ばいもしくは回復傾向である。一方で、Web of Scienceに収録されている臨床医学論文総数は2010年以降増加している[2]。結論として、臨床医学全般において掲載論文総数は増加しているものの、麻酔科からの掲載論文総数は減少しており、日本の医学全体の中で麻酔科の研究力は相対的に低下していると言わざるを得ない。また、麻酔科領域内での高インパクトファクター雑誌への掲載数が減少していることからも、研究力が低下していることが窺える。 海外の調査によれば、他学会の学術集会の演題の20~40%が論文化されていることが報告されている[3]。Onoら[4]は、日本麻酔科学会年次学術集会で発表された一般演題の約1/5が3年以内に雑誌に掲載されていることを報告している。したがって、日本麻酔科学会年次学術集会の一般演題数から今後の論文数が予測できるかもしれない。 日本麻酔科医会連合学術推進プロジェクト会議の調査による日本麻酔科学会年次学術集会および麻酔関連学会での一般演題数の推移を図3に示す[1]。日本麻酔科学会年次学術集会での一般演題採択数は2006年より直線的に減少し、2022年には2006年の約40%程度まで減少している。関連学会では、日本臨床麻酔学会学術集会において同様の傾向が見られ、2022年には2006年の約50%程度に減少している。日本区域麻酔学会および日本ペインクリニック学会では一般演題数が維持されている。唯一、日本心臓血管麻酔学会では約3倍程度に増加しているが、日本麻酔科学会年次学術集会での減少を補うには至っていない。これらの結果から、今後、麻酔関連英文雑誌への日本からの掲載論文数は減少する可能性が高いと考えられる。図3.日本麻酔科学会年次学術集会および麻酔関連学会での一般演題数の推移(引用文献1から転載)2.今後の論文数推移の予測〜国内麻酔関連学会学術集会での一般演題数の推移から10

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る