日本麻酔(科)学会設立から70年が経ち、日本麻酔科学会、麻酔科医について現在公表されている資料等からこれまで行政がどのように捉えてきたかについて考えてみたい。 昭和29年の日本麻酔学会設立から先人たちの努力により[1]、麻酔科の重要性と特殊性に鑑み昭和35年に特殊標榜科目(許可制の標榜科)として認可され麻酔科標榜医制度が始まった(令和6年4月1日時点で麻酔科標榜医は約25,036名。)[2]。また、令和4年には集中治療科が新たに標榜診療科として加えられた。 麻酔科を取り巻く環境としては、麻酔科医不足が社会問題化し、平成17年及び平成20年に日本麻酔科学会は麻酔科医マンパワー不足に対する日本麻酔科学会の提言が提示された。平成17年の提言では、1.麻酔科医の業務内容を国民に知ってもらうこと、2.学生、研修医に対する継続的な働きかけ、3.女性医師が働きやすい環境整備、4.休業状態から復帰しやすい環境整備、5.麻酔科医の業務の系統化と時間短縮への働きかけ(麻酔科外来の設置、準備・介助の委託等)、6.手術室の有効利用(医療機関の運営にあわせた手術の遂行)、7.保険診療上の適切な働きかけを対策として挙げられた[3]。続く平成20年の提言及び対策では、短期対策として1.地域県内での麻酔業務の提携、2.麻酔業務における役割分担の明確化、3.卒後臨床研修における麻酔科の必修化、4.休職中の女性医師等の現場復帰、5.リタイアした麻酔科医の活用、6.標榜医の活用、7.麻酔科開業に対する学会としての関わり、長期対策として1.定数増、2.麻酔料に関して保険診療大阪大学大学院医学系研究科 麻酔・集中治療医学教室記念シンポジウム70周年記念シンポジウム 記念講演会収載第1部 はじめに麻酔科標榜医制度について麻酔科医不足の社会問題化16山 本 俊 介社会活動:行政から見た日本麻酔(科)学会、麻酔科医行政は日本麻酔(科)学会をどのように捉えてきたのかThe Japanese Society of Anesthesiologists from the Perspective of the Government.
元のページ ../index.html#22