日本麻酔科学会 70周年記念誌
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療科別医師数のうち麻酔科医の増加率は全診療科中で最も増加しており(図4) [8]、平成20年を基準とした場合の診療科別医師数の推移においても麻酔科はリハビリテーション科、形成外科に次ぐ増加率を示している(図5) [9]。平成31年の医師需給分科会で示された2024年、2030年、2036年の麻酔科の必要医師数はそれぞれ10,207人、10,127人、9,822人と見通されている[10](シーリング案における2024年の麻酔科必要医師数は10,493人[11]。)。麻酔科の専攻医採用数は7年間の平均で毎年478名程度[12]と概ね横ばいであり(図6)、日本麻酔科学会の掲げる提言や対策にも関わらず麻酔科医不足の解消には至っていない。これらの状況に鑑みると、麻酔科の必要医師数は、手術を行う診療科の推計患者数を基に算出されているが、麻酔科医不足とは認識されていないと考えられる。これには、麻酔科医が手術麻酔だけではなく集中治療やペインクリニック等様々な分野において活躍しており、実態調査等を実施して示す必要があるのではないかと思料している。また、医師臨床研修制度において、麻酔科は、平成16年度は救急又は麻酔科での3月の必修科目であったが、平成22年度からは選択必修科目 (5科目のうち2科目)の選択肢の一つとなり、令和2年度以降も救急12週のうち4週は麻酔科でも可能とされたが必ずしも麻酔科は必修となっていない[13]。 加えて働き方改革が令和6年度から施行され、医師の業務についてタスクシフト、タスクシェアの流れの中で麻酔関連業務においても特定行為研修修了看護師の活用が期待されているものの当学70周年記念シンポジウム 記念講演会収載図4 診療科別医師数の推移19

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