日本麻酔科学会 70周年記念誌
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空前の大成功であった。日本麻酔学会から出た組織委員の私心を捨てての協力、Foldes会長以下の助言、英国麻酔学会の支援のお陰であった。この学会を通じて日本の麻酔科学者は、その後多くの世界的学者とも心を通じ合うことができた。⑵ 2006年総会で理事会提出の世界麻酔学会誘致案が否決された理由① 代議員の多くは麻酔科医不足、仕事負担増加の現状で余裕がなく、将来の世界における日本麻酔科学会の立場、役割、若い麻酔科医の夢、育成を冷静かつ客観的に考えられなかった。② 理事会からの情報、意気込み、結束力が代議員、会員に十分に伝わっていなかった。 これらのメッセージは学会活動、発展にとって貴重な反省と教訓になった。1.) 日本麻酔科学会の定款、理念、基本方針そして麻酔科医倫理網領 をしっかり理解して学会活動を率先して実行する。なお、これまでの学会活動の知見は社団法人日本麻酔科学会50年史(50年史編集委員会編、麻酔第53巻、増刊号2004)が参考になる。2.) 目的達成のために会員から信頼を得て、同じ方向に活動を導く。そのため適正な情報の公開、共有、活用に努める。3.) 会議では大いに議論をしてもよいが、決定事項には一致団結して行動する。4.)行動する場合常に学会を背負っていることを意識し、その言動に責任と品格が求められる。5.) 学会活動の最終責任は理事長が負うことになるが、執行部はそれぞれの立場、役割をわきまえて理事長を支援、協力する。1.) 日本麻酔科学会は麻酔業務だけでなく、集中治療、救急、疼痛、緩和、周産期医療などのサブスペシャリテーを持つ医療集団として連携を保ち、その存在を国内外にアピールし、適正に評価されることを目指す。2.) 麻酔科医は患者の全身管理、各科診療のトリアジーのできる総合診療医として、また病院の管理・運営業務に携わる医療者として医学・医療界さらに行政面での活躍を目指す。最近公的な立場で大学及び医学・医療界の管理責任者として活躍する麻酔科医が増えている。3.) 最近の日本麻酔科学会および麻酔科医における重要な課題の対応に、早急に取り組む。その課題として①会員の不祥事に適切に対応する。②女性会員の真の活動、活躍を図る。③海外との交流と活動を推進する。④一般社団法人日本麻酔科医会連合との連携、協力体制と役割分担を明示する、などが挙げられる。4.)公益社団法人としての日本麻酔科学会の活動目的は:⑴ 組織として麻酔科医療の安全、安心を高め、社会に貢献することで、麻酔科医の成長と社会的地位向上を目指して活動する。⑵ 個人会員として、組織の目的、基本方針、麻酔科医倫理綱領、社会貢献する各種事業、国内外の学会活動などを理解して活動する。⑶ 麻酔科医として自分の立場と役割をしっかり自覚して活動する。特に若手麻酔科医は麻酔科医としての知識、技術、人間性を磨く。中堅麻酔科医は医療の現場で中心的な立場で活躍する。彼らの実力、実績は他領域の医療者達とのチーム医療において発揮する。指導者、管理70周年記念シンポジウム 記念講演会収載6.日本麻酔科学会執行部の重要な立場と役割7.日本麻酔科学会と麻酔科医のこれからの展望29

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