因分析手法に関する研究」300万円を獲得し3年間の調査(研究責任者:武田純三、研究分担者:森田 潔、津崎晃一、河本昌志、長櫓 巧、前川信博)。2004年 偶発症例調査を現行のJSA-PIMSによる調査方法に移行。麻酔科認定病院の年次報告の際に収集し、術中の危機的偶発症(心停止、高度低血圧、高度低酸素血症、高度不整脈)を中心に継続的に解析・報告。関連10学会と共同で「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症予防ガイドライン」を制定。2023年 肺血栓塞栓症を別枠で収集することを停止して偶発症例調査に統合。2024年 調査開始以来の事業を継続しながら、会員申告による偶発症収集の限界と会員システムとの連携を鑑み、新規PIMSの安全管理・偶発症検討WG(藤村直幸WG長、山内正憲副WG長)を発足し、新たな収集・解析方法の検討を開始。 最新データでは(表3)、2022年度の麻酔科認定病院における麻酔科管理症例2,540,506例のうち、偶発症3,520件 (0.14%)、危機的偶発症383件 (0.015%)・15件/10万麻酔件数であった。会員数の増加に伴い麻酔管理症例数、偶発図1.2008年を100とした麻酔関連指標と偶発症および予後の推移。年齢(偶発症症例)は2013年を100とした。症および危機的偶発症が増加している。しかし、対10万麻酔件数で比較すると偶発症の発生割合や予後 (2022年:7日死亡率25件/10万麻酔件数)はほぼ横ばいで推移している(図1)。約15年間、麻酔科診療の成績に著変ないことが示されているが、会員数よりも麻酔管理症例数の増加率が高く、患者の高齢化や手術難易度の上昇にもかかわらず予後が悪化していない点を考慮すると、麻酔科医がより多くの患者を管理可能となり、かつ安全管理が向上していると推測できる。◆CCP専門部会(CCP:ClosedClaimProject、医事紛争解決事案症例調査)1985年 ASAでCCPシステムを開始。本邦では保険会社の手続きを得ることが困難だったため、本学会で偶発症例調査を施行。2002年 ASAに倣い医療事故専門部会(寺崎秀則WG長)がCCS: Closed Claims Studyを事業として発足。日本麻酔科学会と団体契約を結んでいる損害保険会社の協力を得て、損害賠償レベルの医療事故に関する「医事紛争解決症例調査」を継続的に実施。発足当時、本学会のみが損害保偶発症予後2015 麻酔管理症例会員数年齢(偶発症)危機的偶発症偶発症数危機的偶発症発生率(対10万麻酔件数)30日死亡7日死亡後遺症なし後遺症なし(対10万麻酔件数)7日死亡率(対10万麻酔件数)20202022 年%対2008年2001501002001501002001501002008 2010 46
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