日本麻酔科学会 70周年記念誌
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器具故障情報、薬剤情報、注意喚起」および「医薬品ガイドライン」をはじめとする各種ガイドライン・指針等を制定し、内外に公開してきた。現在、薬剤・薬物に関してはⅢ薬剤部門で医薬品適正評価対策専門部会が担当している。◆麻酔機器・麻酔手技安全対策専門部会1971年 麻酔器規格委員会として、麻酔器のJIS規格 (1961年制定)改定を日本医科機器学会と合同で行うための組織として設立。1976年 人工呼吸器なども含めJISとISOの整合性を検討するため、麻酔機器企画委員会と改組改名。1986年 日本医用機器工業会内のISO/TC121国内対策委員会(大村昭人委員長)に使用者の立場で派遣委員を委嘱。2001年 本学会の法人化に伴い安全委員会内に麻酔関連機器JIS規格専門部会と改組改名。2009年 麻酔機器・麻酔手技安全対策専門部会と改名し、麻酔器および関連機器に加え、麻酔手技に関する安全対策も検討。日本医用機器工業会が一般社団法人日本医療機器工業会に改組されたのを機に改名したISO/TC121国内委員会に引き続き委員を派遣し、国際的に競争力のある医療機器の開発と情報発信に関与。 近年 麻酔機器・器具の故障について会員から情報を収集し、関連企業から原因究明の協力をえて、部会で報告書を作成、学会HPおよび学会ニューズレターで内外にフィードバックしている(水本一弘部会長)。麻酔器の不具合に関する報告が多く、毎年5件程度の事実のみに基づく公平な対応により、関連企業は安全な医療機器の開発に活かし、会員は適正使用を理解する事業となっている。◆麻酔器の始業点検定期点検指針1990年 初版の制定。1990年、1995年、2003年、2013年、2014年、2016年、2019年 改定。2022年 改定第6版-3の制定。この背景には麻酔器とモニターの進歩と、臨床工学技士の専門性が広く知られるようになったことがある。◆小口径コネクターの影響検討WG2018年 血管内投与と神経ブロックの薬液投与の誤接続を防止するため、神経麻酔専用の小口径コネクター製品 (ISO80369シリーズ)への切り替えが、世界中でわが国だけで開始。2020年 本学会の周知、関連企業の協力、そして麻酔科医の安全管理への高い意識により、2月の旧製品販売終了までに大きな混乱なく小口径に切り替えを達成。2023年 大規模な注射器使い分けは本邦だけの経験であり、今後は栄養チューブ等でのコネクター変更を行う場合、同様の問題点を共有できるため、アンケート調査(齋藤淳一WG長)を行った。その結果の公表が待たれる。 麻酔関連薬の適正使用と医療現場の実情に合わせた医薬品の取り扱いを推進している。また、周術期管理に必要な薬物の適応、副作用情報、さらに新規収載などに関しての提言を行っている。◆医薬品適正評価対策専門部会2001年 法人化の際に安全委員会と同時に設立。全身麻酔薬、麻薬、劇薬、毒薬など麻酔科医が使用する薬剤は緊急性が高く生命に直結する。妊婦・小児への安全性も確立していない医薬品が多い。そこで麻酔現場で必要性の高い薬品の適正使用・投与経路、適応外使用への根拠、そして医薬品の機序に基づいた安全性と有効性を評価するために、厚生労働省の指導も仰ぎながら文献を基に「医薬品ガイドライン」としてまとめる事業が始まった。2003年 4月23日初版(与五沢利夫部会長)発行。2005年 第2版(白石義人部会長)発行。2009年 第3版(白石義人部会長)発行。吸入Ⅲ.薬剤部門50

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