日本麻酔科学会 70周年記念誌
60/168

等と連携(廣田和美委員長)。2023年 COVID-19が5類感染症の扱いとなったことから、海外文献を「COVID-19 感染既往患者の待機手術再開時期に関する提言」として発出(山蔭道明理事長)[40]。◆災害対策、医療ガスの安全管理2001年 停電事故対策に関する調査を報告[50]。2009年 本学会認定施設を対象に、日本医療ガス学会が医療ガスの災害対策を調査[51]。2011年 兵庫県の医療施設における酸素と二酸化炭素のボンベ取り違え事例を踏まえ、院内での適正使用のための提言「搬送時に使用する小型酸素ボンベと二酸化炭素ボンベの誤認事故防止対策について」を、本学会および日本医療ガス学会、日本産業・医療ガス協会が共同で発表[40]。2012年 東日本大震災を経て医療ガスと災害対策が学会を超えたテーマとなる[52]。◆産科麻酔の安全対策 本邦で産科または産婦人科を標榜する施設は2020年で4,434施設あり、診療所が減少傾向とはいえ29% (1,291施設)ある[53]。麻酔科医が常勤している診療所はその一部であることを考えると、帝王切開や分娩時鎮痛(無痛分娩、麻酔分娩)への麻酔科医による管理が、全国あまねく行えていないのは想像に難くない。そのため分娩時の救急事態および産科医による麻酔行為について、安全な医療行為の推進を主目的に助言等を行っている。 妊産婦の死因の主要因である産科的出血に対して、適切かつ迅速な麻酔科医の管理と、関係各科の連携した対応を推進する事業を行っている。2017年 「産科危機的出血への対応指針」を、本学会および関連5学会(日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本周産期・新生児医学会、日本輸血・細胞治療学会、日本IVR学会)から発行。無痛分娩関係学会・団体連絡協議会 (JALA) 設立、本学会も構成団体となる。2018年 「日本麻酔科学会の考える望ましい無痛分娩のあり方」を会員に向けて発出(小板橋俊哉理事長)[54]。産科麻酔・無痛分娩に関する検討WG(近江貞子WG長)が中心となり、分娩時鎮痛のリスクマネジメントと麻酔の質向上の2つの視点のうち、麻酔科医の基本知識・技術であるリスクマネジメントについて産科医教育を検討。麻酔下での経腟分娩は、麻酔科医・産科医・助産師・妊婦と家族がチームで理解して安全性と質を向上させる必要があり、麻酔科医の質向上は、専門性の高い麻酔関連学会の活動を促しながら、教育機会を増進。2021年 JALAにおける麻酔と救命処置の講習受講を、麻酔科認定医・専門医・指導医から撤廃を達成。2022年 「産科危機的出血への対応指針2022」に改訂。各種輸血製剤の投与方法の変化、クロスマッチ無しの非適合輸血、フィブリノゲン製剤の使用、非外科的止血方法などの発展による、アルゴリズムの明確化。2024年 分娩時鎮痛を目的としたレミフェンタニルの安易な適応外使用への対策について、JALAから要請があり、産科医および国民への啓発と注意喚起の発出を予定。◆鎮静検査の安全対策 麻酔、ICU、各種検査における鎮静も高度化と保険診療の対象となったことからニーズが高まり、安全管理は内科医や小児科医も巻き込んだ本邦の医療課題となっている。1999年、2006年 日本消化器内視鏡学会が「消化器内視鏡診療に関するガイドライン」を発行。2015年 日本消化器内視鏡学会が本学会共同で「内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン」を発行[55]。2017年 鎮静WG(横田美幸WG長)を発足、日本不整脈心電学会、日本歯科麻酔学会、日本放射線腫瘍学会から外部委員を招きガイドライ52

元のページ  ../index.html#60

このブックを見る