る[8]。4.その他の日本麻酔科学会関連団体に域格差なく維持していくためには遠隔教育や遠隔医療の積極的導入を含む大掛かりなイノベーションが必要である[6]。2.麻酔薬や麻酔手技別に分けられた麻酔関連団体としては、静脈麻酔学会 (1994年設立)、医療ガス学会 (1997年設立)等があるが、中でも会員数を伸ばしている麻酔関連団体が日本区域麻酔学会 (2013年設立)である。区域麻酔を統合する形の学会として、飛躍的に進歩している超音波ガイド下の神経ブロック法の教育と普及を行う団体として、アジアオセアニア地区の本領域の国際交流活動の主要団体として、重要な位置を占めるものと期待される[7]。3.病態・治療別に分類された場合の麻酔関連団体として日本ショック学会 (1986年設立)や日本循環制御学会 (1980年創立)、日本気道管理学会 (2017年設立)がある。4.その他の項目の学会にあえて記させていただいた学会に、日本臨床麻酔学会がある。設立は1980年と本稿にあげた中の関連団体としては最も歴史のある団体の一つである。設立の趣旨として、臨床に直結する学問、研究の進歩と普及を図る、麻酔科医の勉強の場であるとされている[8]。この臨床麻酔学会は当時の会員動向から東の日麻、西の臨麻と称され、あるいは学術集会開催時期の関係から春の日麻、秋の臨麻として麻酔科医の所属・参加する2大学会として長い間親しまれて来た。特に1988年当時からIARSと歩調を共にした国際交流活動や日本臨床麻酔学会雑誌を、麻酔関連学会の日本静脈麻酔学会、日本医学シミュレーション学会、日本臨床モニター学会、日本区域麻酔学会、日本麻酔・医事法制研究会と合同刊行を行っていることは特筆に値すはもちろん、麻酔科学会の上部機関である内閣府や所轄の厚生労働省、日本医師会や日本医学会、海外関連組織としての世界麻酔学会連合 (WSFA)、公的機関である日本医療安全調査機構や医薬品医療機器総合機構等が含まれ、本学会と相互支援を行っている。外科系学会、内科る無痛分娩研究会は麻酔科学会発足後わずか7年後の1961年に初開催され、2009年に現在の形となっている。この団体の特徴は麻酔科医と産科医が共同して運営形態をとっていることであり、麻酔科医は産科学を学び産科医は麻酔学を学び合うことで安全な産痛緩和を目指して医療活動を実践している[3]。硬膜外無痛分娩の安全性の向上や今後の産科麻酔領域の保険診療の動向に無痛分娩関係学会・団体連絡協議会 (JALA) と共に果たす役割は大きいと拝察する。次いで最古参の麻酔科関連団体が、1971年に前身の小児麻酔研究会からスタートした日本小児麻酔学会 (1995年改称)である。少子化や小児医療取扱施設のセンター化構想と相まって小児麻酔を経験できる施設が減少していく中で、どのように小児麻酔を安全に実践できる麻酔科医を担保していくかという大きな命題を解決するための鍵を握っている学術団体である。加えて、小児麻酔学会とは対局の患者を扱う学会として、老年麻酔学会 (1988年設立)がある[4]。日本神経麻酔集中治療学会は1997年設立当初は脳外科手術の周術期管理を中心に活動していたが近年麻酔や集中治療に関する全ての神経科学を活動範囲に含むようになり[5]現在の形として歩みはじめた。高齢者の周術期管理を範疇に入れた、この2団体の今後の活動動向には注目していきたい。続くは、日本心臓血管麻酔学会である。設立は1996年と比較的新しいが、心臓血管疾患を抱える患者や心臓血管領域の外科手術やインターベンションを施行される患者に対して、より安全で質の高い周術期医療を実践することを目的とした団体である。補助人工心臓、ロボット支援手術、経カテーテル治療をはじめとしてこの心血管治療領域の最近の医学医療の進歩はめざましいものがあり、高い専門性と常に最新の知識を必要としている領域のため、2010年早々から専門医制度をスタートさせている[6]。この領域のような高度化・先進化が非常に早い関連領域で活動する麻酔科医の専門医制度を地64
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