日本麻酔科学会 70周年記念誌
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 麻酔科専門医制度の発足と制度の変遷については、上村先生が詳細に述べられているのでここでは省略する。2018年度から機構専門医プログラムが開始となり、最初の機構専門医の試験が2021年度に実施された。この年から日本麻酔科学会専門医(学会専門医)と機構専門医の新規認定が行われた。2018年度以前に麻酔科医となって研修を開始したが、産休育休など非従事期間があった方や口頭試験・筆記試験に合格できなかった方、単位が足りない方などが2021年度以降も学会専門医として受験した。試験は学会専門医も機構専門医も同じ日程・同じ内容のものであったが、申請に必要な要件が機構専門医の方が厳しかった。しかし、学会専門医新規申請は2023年度で終了し、2024年度からは新規専門医認定は機構専門医新規申請の方のみとなる。 2024年現在の機構専門医新規申請に必要な条件は、職務・麻酔経歴として、医師免許取得後から申請時までの職務経歴書、研修プログラム開始年の4月1日から申請時までの麻酔経歴書が必要で、研修プログラム中は週3日以上麻酔科関連業務に継続して従事していることが条件である。必要臨床実績として、麻酔科管理症例徳島大学大学院医歯薬学研究部麻酔・疼痛治療医学分野(局所麻酔を含む)600症例、小児 (6歳未満)の麻酔 25症例、帝王切開術の麻酔 10症例、心臓血管手術の麻酔(胸部大動脈手術を含む)25症例、胸部外科手術の麻酔 25症例、脳神経外科の麻酔 25症例となっている。詳細は日本麻酔科学会HPに公開されているので確認をしてほしい。必要単位数等は10単位であり、その内訳は1)学術集会等への参加実績 5単位 2)学会発表による発表実績 2単位 3)専門医共通講習による実績 3単位である。細かい規定があるのでHPを参照してほしい。加えて、AHA-ACLS、PALSプロバイダーコースを有効単位期間内に受講していることの要件がある。申請が認められれば、筆記・口頭・実技試験があり、すべて合格すれば晴れて機構専門医となる。 麻酔科の機構専門医プログラムは4年間である。最短コースでいうと、初期研修終了後、機構専門医プログラムに入り4年間の研修で上記要件を満たす必要がある。筆記・口頭・実技試験はプログラム4年目から受験することができる。合格すれは5年目に日本麻酔科学会に申請を行い、審査会で合格と認定されれば日本専門医機構にそれを報告し、問題がなければプログラムに入ってから6年目の4月1日付けで日本専門医機構より麻酔科専門医として認定される。機構専門医プログラムに移行して試験のことで教 育第2部 寄 稿〇専門医制度の最近の現状と問題点86田 中 克 哉専門医制度、機構専門医への移行、 認定制度の推移、 問題点と将来の方向性

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