元会員藤井善隆氏の論文捏造に関する理事会声明 2012年08月30日
【2012年08月30日】
日本麻酔科学会は,本年3月8日に表面化した本学会会員である藤井善隆氏(当時)の論文捏造疑惑問題に関し,「藤井善隆氏論文調査特別委員会」を立ち上げ,論文内容,生データ,実験ノート等の各種資料の精査や研究実施施設における研究関連記録の調査,藤井善隆氏本人並びに関係者への面接調査により事実関係を調査した結果,調査対象とした原著論文212編のうち,捏造なし(論文再現可能な生データがあり,対象数が確認できるもの)3 編,捏造あり(対象数,実験条件,薬物投与記録のいずれかを満たさないもの)172 編,その他(捏造の有無を判断するに足る情報が得られなかったもの)37 編などとする調査結果を纏め,これを本年6月29日に公表いたしました.
この調査結果を受けた本学会としては,同会員に対して厳正なる処分手続きを行うべき重大事項であると認識し,定款にもとづき,社員総会にて同会員の除名決議を求めるべく検討を始めておりました.
しかしながら,その後に同会員より本学会に対して退会届が提出され,社団法人に関する法律および定款に照らし合わせた結果,本学会としてはこれを受理せざるを得ないとの判断をいたしました.
この結果,藤井善隆氏は退会いたしましたが,本学会としては,本邦の麻酔科医および研究者全般の信用を多大に失墜させ,国民への安全な医療提供にも多くの悪影響を与えた同氏には,医師,研究者としての資格はないと判断し,永久に本学会への再入会を認めないことと致しました。関連諸団体,施設におかれましても,このような案件を二度と繰り返さないためにも,藤井氏の今後の活動に対してはご留意をしていただくよう,これら事実を公表して,強く要請を致す次第です.
本学会は,今後,研究活動の不正行為を防止するための教育,啓発活動を継続的に実施し,再発防止に努めることを理事会で確認し,ここに声明として明らかに致します.
公益社団法人 日本麻酔科学会 理事会