「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の運用開始について 2021年07月05日
2021年7月5日
「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」運用開始に関するお知らせ
学術委員会 中塚 秀輝/岡本 浩嗣/内田 篤治郎
2021年3月23日に「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」が告示され、6月30日より施行されます。
会員の皆様におかれましては、以下の点にご配慮ください。
1) [指針の対象範囲]この指針は、我が国の研究機関により実施され、又は日本国内において実施される人を対象とする生命科学・医学
系研究を対象としています。
○ ただし、薬事申請のための試験(=治験)・医薬品や医療機器等を用いた医行為を伴う介入研究(=臨床研究法の範囲)などは、
すでに適用されている規則の適用対象となり、症例報告や人を対象としない研究(動物実験や細胞実験等)などとともに、本指針
の対象にはなりません。
2) [倫理審査委員会の審査受審と研究機関の長の許可]研究者等は、法令、指針等を遵守し、当該研究の実施について厚生労働省・倫理
審査委員会報告システムに登録されている倫理審査委員会の審査及び研究機関の長の許可を受けた研究計画書に従って、適正に研究を
実施しなければなりません。
○ 「倫理審査委員会報告システム」は、厚生労働省のサイト
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/i-kenkyu/index.html
において公表されています。
○ 研究責任者は、研究の実施の 適否について、倫理審査委員会の審査を受ける必要があります。多機関共同研究においては、
各施設の研究責任者の中から研究代表者を1名定め、原則として、一つの倫理審査委員会による一括した審査を求めなけれ
ばなりません。
○ 研究責任者は、倫理審査委員会に意見を聴いた後に、その結果及び当該倫理審査委員会に提出した書類、その他研究機関の
長が求める書類を研究機関の長に提出し、当該研究機関における当該研究の実施について、許可を受けなければなりません。
3) [研究者に対する教育・研修]研究者等は、研究の実施に先立ち、研究に関する倫理並びに当該研究の実施に必要な知識及び技
術に関する教育・研修を受けなければならず、研究期間中も適宜継続して、教育・研修を受けなければなりません。
4) [データベースへの登録]研究責任者は、介入を行う研究について、厚生労働省が整備するデータベース(Japan Registry of
Clinical Trials: jRCT)等の公開データベースに、当該研究の概要をその実施に先立って登録し、研究計画書の変更及び研究の
進捗に応じて更新しなければならないこととなりました。
○ 情報の一括検索を可能にする等の観点から、jRCT のほか、国立大学附属病院長会議が設置している下記公開データベースの
いずれかに登録することとされています。
◆ jRCT(Japan Registry of Clinical Trials)
https://jrct.niph.go.jp/
◆ 大学病院医療情報ネットワーク研究センター 臨床試験登録システム(UMIN-CTR)
https://www.umin.ac.jp/ctr/index-j.htm
◆ 国立保健医療科学院のホームページ
https://rctportal.niph.go.jp/
また、観察研究など、その他の研究についても、登録が努力義務となりました。
5) [研究協力機関の定義づけ]研究協力機関が、研究計画書に基づいて研究が実施される研究機関以外であって、当該研究のため
に研究対象者から新たに試料・情報を取得し(侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う試料の取得は除く。)、研究機関に提供のみ
を行う機関としてあらたに定義されました。
○ 研究協力機関が、当該研究のために新たに試料・情報を取得(侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う試料の取得は除く。)し、
研究機関がその提供を受ける場合についてのインフォームド・コンセントは、研究者等が受けなければなりません。また、研究
協力機関においては、当該インフォームド・コンセントが適切に取得されたものであることについて確認しなければなりません。
○ ただし、研究協力機関で軽微な侵襲もしくは侵襲を伴わずに取得できる試料・情報の提供のみを行う(例えば、患者情報のみを
提供する、など)場合には、インフォームドコンセントの代わりに情報の周知とオプトアウトの形で施行することで代用できる
可能性があり、手続きが簡略化できる場合があります。
6) [6月29日以前に承認された研究の取り扱い]また、旧指針に基づいて実施中の研究は、今までどおり旧指針のまま研究の継続で
きます。
2021年6月30日以降に倫理審査を受ける形で開始される医学研究については、上記1)に示す、すべての研究が新指針の対象となり
ます。日本麻酔科学会が開催する学術集会や出版する学術雑誌におきましても、指針の遵守に基づく運用を進めますので、会員の皆様
におかれましては、御配慮をいただけますようよろしくお願い致します。
なお、当該新指針につきましては、下記の資料をご参照ください。
◆ 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針 ガイダンス
https://www.mhlw.go.jp/content/000769923.pdf
◆ 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針 経産省ニュースリリース
https://www.meti.go.jp/press/2020/03/20210323004/20210323004.html
◆ 「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」説明資料
https://www.mhlw.go.jp/content/000769921.pdf