【3月23日更新】日本麻酔科学会の財務について 2022年03月23日
2022年2月17日掲載
2022年3月23日更新
2022年3月23日更新
日本麻酔科学会は公益社団法人です。公益社団法人とは公益目的事業(日本麻酔科学会では学術集会や専門医制度の管理などがこれに相当します)が主たる事業である法人で、税制面で優遇を受けています。しかし、財産の保有には厳しい制限があり、その年度の公益目的事業額相当の額以上の遊休財産(使用目的の定まっていない財産、例えば、現金)を保有することができません。
COVID-19の感染拡大前の保有限度額は約9億7000万円でした。2021年度予算総額は約10億円で、そのうち公益目的事業への支出が約7億8000万円の予算でしたが、COVID-19の影響でさらに公益目的事業は縮小し、その支出額は約1億1000万円減の約6億7000万円になる予測です。
遊休財産額に関しましては、2020年度末の時点での遊休財産額は約5億円で、決算予測として2億円の資産増加の見込で、さらに今年度に1億円の地方債が償還され現金化されましたのでさらに1億円が加わることになり、このままでは2021年度末で約8億円の遊休財産が生じることになりそうです。したがいまして、8億円から6億7000万円を差し引いた約1億3000万円を遊休財産とみなされない形の資産に移し替える必要があります。その方法の1つが債券を購入し、債券という形で資産を保有するというものです。債券保有は投資目的ではありませんので比較的安全とされている地方自治体が発行する債券(地方債)を今まで購入してきましたし、今回も地方債を購入する予定です。ただ、地方債は1億円単位での販売となりますので、今年度は2億円の地方債を購入することにしました。
今年度2億円の債券を購入すると、今年度末に日本麻酔科学会が保有する遊休財産は約6億円、債券は7億円で、合計すると約13億円の予定です。会員の皆様はこれだけの資金を何のために保有しているか疑問に持たれる方も多いと思います。日本麻酔科学会は会員の皆様が負担してくださっている年会費や専門医取得あるいは維持のための費用で約4億円の安定した収入がありますが、例えば、年次学術集会をハイブリッド形式で行うと3億円以上の経費がかかります。もちろん学術集会では参加費を払っていただいていますが、それでも約1億5000万円の資金が不足します。その不足分は今のところ企業展示や共催セミナーの料金で賄われていますが、いつまで企業からの協力が得られ続けるかは不透明です。また、数年に一度の会員管理システムを含めた日本麻酔科学会本体のコンピューターシステムの更新にも億単位の費用が必要ですし、学術集会の準備は3年前から始まっています。財務委員会としましては、将来不測の事態が起こっても安定した学会運営を行うためには、ある程度十分な金融資産は必要だと考えています。
麻酔科学会では学術集会以外にも各種委員会活動、専門医試験実施、さらにはJournal of AnesthesiaやJA Clinical Reportsの編集などの事業が行われています。これらは事務局職員の献身的な対応と委員の無報酬の協力で成り立っています。財務委員会としましては、日本麻酔科学会が今後もますます発展するように長期展望を持って健全な財務内容の維持に努力する所存です。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
※一部金額情報について2022年3月23日に修正しております。