安全で快適な医療のために

私たちは質の高い麻酔科医を育成し、新たな医療技術と安心を創成し続けます。

北海道・三陸沖地震に際して 2025年12月12日

このたび北海道・三陸沖地方で発生した大規模な地震により被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。また、被災地域で困難な状況に直面しながら周術期医療を支えておられる会員の皆さまに、深く敬意を表します。

現在、北海道・三陸沖後発地震注意情報も発出されており、いまだ予断を許さない状況が続いております。手術室は、電力・ガス・空調・滅菌・水・情報ネットワークなど、複数のインフラが同時に維持されて初めて安全に機能する領域であり、災害時にはそのどれもが不安定になり得ます。

限られたリソースの中では、麻酔科医が本来有している機器に頼らないモニタリング能力の価値が一層重要になります。災害下の不確実な状況においても、患者の状態変化を最も早く察知し、判断し、行動できる存在として、多職種と協力しながら安全な周術期医療を継続していただいていることに、深い感謝を申し上げます。

本学会としては、被災地域の会員の皆さまからのご要望を幅広く受け付けたいと考えております。診療体制、安全確保、教育、制度など、どのようなことでも構いません。事務局宛にお寄せいただければ、学会として可能な限り対応してまいります。

また、今回の災害は、直接被災していない地域の麻酔科医にとっても、自施設のBCP(事業継続計画)を見直す重要な契機です。非常用電源、酸素供給、人工呼吸器・麻酔器のバックアップ、術中に災害が発生した際の行動基準など、周術期医療特有の課題は少なくありません。麻酔科が中心となって、災害に強い医療体制の構築を進めていただければと存じます。

被災された会員およびご家族、関係する皆さまのご無事と、一日も早い平穏の回復を心よりお祈り申し上げます。
 
公益社団法人 日本麻酔科学会
理事長 内田 寛治
副理事長 山内正憲