麻酔を受けられる方へ <8>
麻酔をして手術を行う
区域麻酔の場合
《硬膜外麻酔》
硬膜外麻酔は、脊椎(背骨)の中にある脊髄のすぐ近くの硬膜外腔という場所に、
麻酔薬をいれて、手術部位の痛みを無くす、あるいは軽くする麻酔法です。
手術をする所に合わせて、背中のどこから麻酔薬をいれるかを決め、カテーテルという細い管をいれます。
このカテーテルから麻酔薬をいれて麻酔を行います。
カテーテルをいれるときには、背中をネコのように丸くして下さい。
消毒の後、背中に痛み止めを注射しますので、ほとんど痛くありません。
麻酔の効き目を確かめてから、手術が始まります。
区域麻酔でも、ご希望があれば鎮静薬や麻酔薬によって眠ることが可能です。
また、手術後も、手術のときにいれたカテーテルから麻酔薬をいれることができ、痛みを抑えるのに大変有効です。
数日間、痛みを抑えるのに用いられたカテーテルは、必要が無くなれば抜きます。
《脊髄くも膜下麻酔》(下半身麻酔)
脊髄くも膜下麻酔では、細い針を使って脊髄液が満たされている場所に区域麻酔薬をいれ、脊髄を麻痺させます。
この麻酔が効いている間(3 ~ 6 時間)は、感覚が無くなり、足を動かせなくなります。
体位や消毒方法、最初の痛み止めの注射は硬膜外麻酔の場合と同じ方法です。
麻酔の効き目を確かめてから、手術が始まります。
手術後、まれに頭痛が起こることがあります。通常、数日間、安静にしていれば自然に治まります。
《末梢神経ブロック》
神経の走行に沿って麻酔薬を注射し、その領域の痛みをとる方法です。
麻酔の範囲は、硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔より狭く、必要最小限にとどめられることが特徴です。
末梢神経ブロックのみでも短時間の手術を行うことができますが、通常は、全身麻酔と併用して手術後の痛み止めに利用します。
上肢の神経ブロックでは首の横側や脇の下、鎖骨の近くから針を刺します。
下肢の神経ブロックでは足の付け根やおしりから針を刺します。
超音波装置(エコー)や電気刺激、レントゲン装置、患者さんの感覚などで確認してから麻酔薬をいれます。