喘息
喘息は、気道に炎症がおこり、咳や息苦しさ、喘鳴(呼吸をする時に出るヒューヒュー、ゼーゼーという音)等の症状があらわれる病気です。
日本での患者数は現在約500万人おり、決して珍しい病気ではありません。
喘息の症状は、さまざまな原因により現れますが、手術をする際の麻酔もその原因となる場合があります。
例えば、①患者さんを眠らせたり、痛みを取ったりするお薬には、喘息の症状をおこしやすいものがあったり、
②全身麻酔中には、人工呼吸をするためのチューブの気管への挿入(気管挿管)やチューブからの痰の吸引の刺激で喘息がおきることがあります。
喘息患者が全身麻酔中に発作をおこす割合は2~10%ですが、一旦発作がおこると、脳や心臓などの重要な臓器に酸素が行き渡らないなどの、
危険な状態におちいることもあります。ですから麻酔科医が喘息をお持ちの患者さんに麻酔をする場合は、以下に注意しています。
1. 術前状態の把握
いつから喘息を指摘されているか、最終の発作はいつか、どんな時に発作をおこしやすいのか、発作時の症状はどのようなものか、 重篤な発作(重積発作)の有無、予防・治療に使用しているお薬の種類(ステロイド、抗アレルギー薬、β2 刺激薬)等の情報を詳細に教えていただきます。
2. 周術期管理
患者さんの情報に関して、主治医をはじめとした院内の医療チームと情報を共有します。 具体的には、手術前に呼吸器内科専門医への紹介、麻酔・手術中に発作がおこった場合の集中治療の手配、風邪をひいている等、 発作をおこしやすい状態であれば、緊急度によって手術延期を含めたより安全な時期への手術計画の変更を行います。
3. 麻酔計画の立案
発作を引きおこしやすいお薬や手術内容により気管挿管を避けた麻酔方法を選択します。