よくある術前合併症

開口困難

開口困難

開口困難とは口を開けにくい状態のことをいいます。 具体的には口を三横指以上、つまり自分の人差し指と中指と薬指を付けた幅の広さを開けることのできないことをいいます。 大体4.5cmぐらいです。開口困難はさまざまな原因でおこりますが、多いのは顎関節症、外キズによる痛み、リウマチによる顎関節の炎症などです。

開口困難と全身麻酔

全身麻酔がかかると意識がなくなり、同時に呼吸が止まるため人工呼吸が必要になります。 手術中は人工呼吸のために気管挿管と言って気管に管を挿入して、その管を通して酸素を送り込みます。 開口困難があると気管挿管が困難になってしまい、人工呼吸が難しい場合があります。これを挿管困難といいます。 麻酔をかけるうえで二横指(約3cm)口が開かないと挿管困難である可能性が高くなります。 開口困難に加え前歯などがぐらついていたりすると、気管挿管の操作で前歯が折れてしまうこともあります。 外傷による痛みが原因の開口困難の場合には麻酔がかかると口が開きやすくなることが多いです。 しかし慢性的に関節の異常がある場合には、麻酔をかけても開かないことがあるので、麻酔科医は慎重に評価しています。

重篤な開口困難と麻酔法の選択

開口困難による挿管困難が予想される場合、可能なら全身麻酔を避けるようにします。 局所麻酔や区域麻酔(硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔)でできる場合はそちらを選択します。 どうしても全身麻酔が必要な場合には、麻酔をかけ、呼吸が止まった後に気管挿管が不可能になると大変ですので、 麻酔をかける前に患者さんの意識があり、呼吸している状態で気管挿管(意識下挿管)をさせていただく場合があります。 その際には十分に口やのど、気管に表面麻酔をして、苦しくない状態で気管支鏡(胃カメラを細くしたようなもの)を使って気管挿管します。 手術前診察で、患者さんの開口状態についてお尋ねいたしますのでご協力お願いします。また開口困難かどうか不安な方は麻酔科医にご相談ください。