重症筋無力症
日本では、人口10万人当たり23.8人(2018年時点)に発症する自己免疫疾患で、女性にやや多いとされています。
筋肉を繰り返し使うことで筋肉が疲労しやすく、全身倦怠感や脱力などの症状があらわれ、休息することで回復します。
そのため、夕方にかけて症状があらわれることが多いです。最初に眼症状があらわれやすく、物が二重に見えたり(複視)、
まぶたがたれ下がって(眼瞼下垂)きます。さらに、呼吸を補助する筋肉や飲み込むこむための筋肉が侵されることもあります。
治療法
薬物治療としては抗コリンエステラーゼ薬の投与、免疫グロブリン療法やステロイドの投与、血液浄化療法などがあります。外科的治療としては胸腺摘出術があります。
手術を受ける際に気を付けること
重症筋無力症の方が手術を受ける場合には注意が必要です。特に手術前後は、非常に大きなストレスによって、
筋無力症状が悪化(クリーゼ)することがあります。そのため手術は筋力低下や呼吸苦などの症状が落ち着いているときにすることが重要です。
月経も症状増悪の危険因子ですので、月経期間中は手術を避けるようにします。
また、手術後に呼吸を補助する筋肉の回復の遅れやクリーゼをきたすことがあり、その場合には人工呼吸管理が必要となります。
また、手術後に呼吸を補助する筋肉の回復の遅れやクリーゼをきたすことがあり、その場合には人工呼吸管理が必要となります。
麻酔と重症筋無力症
重症筋無力症では、全身麻酔で使用する筋弛緩薬の影響を受けやすく、その効果が残りやすい傾向にあります。
そのため、麻酔科医は筋弛緩モニターを使用して、できる限り筋弛緩薬が少量で済むようにします。
またガスの麻酔薬(吸入麻酔薬)には筋弛緩作用があるため、その効果を利用して麻酔を維持したり、筋肉への影響の少ない静脈麻酔薬を優先したりします。
手術部位や術式によっては、ガスの麻酔薬や筋弛緩薬を使用しない区域麻酔(硬膜外麻酔や神経ブロックなど)で麻酔管理ができます。 これでも呼吸を補助する筋肉に影響が出ることがあるため、注意深く麻酔を行います。
手術部位や術式によっては、ガスの麻酔薬や筋弛緩薬を使用しない区域麻酔(硬膜外麻酔や神経ブロックなど)で麻酔管理ができます。 これでも呼吸を補助する筋肉に影響が出ることがあるため、注意深く麻酔を行います。