よくある術前合併症

血糖降下薬の術前管理

血糖降下薬とその種類

血糖降下薬とは、糖尿病などのために血糖値が高い患者さんに対して処方される血糖値を下げるお薬のことです。
血糖降下薬には、飲み薬(経口薬)と注射薬があります。
  • 経口薬:
    インスリンを分泌(出しやすく)するお薬(例:スルホニル尿素薬、グリニド薬、GLP-1受容体作動薬、DPP4阻害薬)
    インスリンを効きやすくするお薬(例:ビグアナイド薬、チアゾリジン薬)
    糖の吸収や排泄を調節するお薬(例:αグルコシダーゼ阻害薬、SGLT2阻害薬)
  • 注射薬:インスリン製剤(持続型、中間型、速効型、超速効型)
上記のように血糖降下薬にはたくさんの種類があり、糖尿病の成因や患者さん個々の状態によって使い分けられています。

手術・全身麻酔と絶飲食

全身麻酔が必要な手術の場合、麻酔中の嘔吐や誤嚥を防ぐために胃の中を空にしておく必要があります。 また手術の内容によっても胃や腸の中を空にしておく必要があります。そのため手術前日もしくは当日から絶飲食となる場合が多いです。

血糖降下薬を中止?継続?

絶飲食の状態で通常どおり血糖降下薬を内服もしくは注射してしまうと低血糖になる危険性があります。 重症の低血糖では意識を失うこともあり、大変危険です。そのため手術前には血糖降下薬を中止・減量することが多いです。 お薬の種類や患者さんの状態によって中止、減量、場合によっては継続を主治医(糖尿病内科医)や麻酔科医が判断することになります。 手術前の血糖降下薬の使用については主治医や麻酔科医の指示を守るようにしてください。