よくある術前合併症

糖尿病と麻酔

糖尿病とは何ですか?

糖尿病とは、すい臓から出るインスリンというホルモンの働きが不調となり、血液中の糖分が高く、尿に糖が混ざる状態となります。のどの渇き、多飲、多尿などが見られます。

糖尿病の合併症にはどんなものがありますか?

血糖値が高い状態が続くことで、全身血管の動脈硬化がおこります。中でも、神経の症状(手足のしびれ) 、網膜症(視力の低下や目が見えなくなる可能性)、 腎臓の症状(腎機能が悪くなり、透析が必要になる人も)、また心臓や脳血管の動脈硬化で心筋梗塞や脳梗塞などがおこりやすくなります。

どんな検査で分かりますか?

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という血液検査で直近1〜2ヵ月間の平均した血糖の状態が把握でき、糖尿病治療が順調に行われているかの指標になります。 上に書いたような合併症の予防のためにも、目標値は7.0%未満とされています。

手術前に大切なことは何ですか?

手術を行うことで、血糖値を正常に調整する機能が低下し、糖尿病の患者さんでは特に血糖値の大幅な変動を生じてしまいます。
  • 血糖コントロールが不十分なまま手術に臨むと、血糖の変動が大きくなり、キズの化膿などがおこりやすくなるだけでなく、 脳梗塞や心筋梗塞などの合併症がより生じやすくなります。
  • 手術前にはより厳密な血糖値のコントロールが必要で、早めに入院して厳密な管理を行ったり、状態を整えるまで手術を延期する場合もあります。

糖尿病の患者さんが麻酔・手術を受けることが決まったら

  • ご自身の血糖コントロールは良好かどうか、主治医や麻酔科医に相談しましょう。もしコントロールが良好でない場合は、糖尿病専門医に相談します。
  • 手術の前には、内服薬やインスリンの調節が行われます。数日前からお薬の中止など普段と異なる服薬指示が出ることがありますので、 医師・薬剤師の指示に従ってください。